食べログ、YouTubeよりも自分の舌。酒田食材探訪の記録
- Kaz Saito
- 2024年5月21日
- 読了時間: 5分

Kizomba Festival 2024の興奮冷めやらぬ翌日、6月の料理教室の勉強を兼ねて、山形県は酒田市へ、ぶらり旅。
日本海に面する酒田市だけに美味しい魚にどれだけ出会えるか楽しみと、まずは飛行機で庄内空港へ。そこで出会ったのが、現首相一行。これは幸先いい、と思いきや…今回の食探訪、現政権の行方とシンクロしたのか、残念な結果となりました。
バスで酒田市に入ってまず昼食に選んだのが蕎麦。タクシーの運転手さんに教えてもらった「本格手打ち田毎(たごと)」へ。
我が教室でも蔵王の合鴨を使うので、距離的にそれを使っているのではないかと鴨せいろを注文。
こだわりの手打ちによる二八蕎麦、東京でいただくより1.5倍くらいの歯ごたえ。鴨とねぎは、鰹だしとヒゲタ醤油をベースにした温かい漬け汁の中で、そこに蕎麦を漬けていただきます。
漬け汁はこれまた東京の1.2倍濃い味付けと感jじましたが、鴨の旨みがしっかりしているため、これはこれでのベストマッチとも言えます。
特筆すべきはそば湯。濃い! そばをゆでた湯にさらにそば粉を足しているのでしょうか。重湯のように白くとろりとしており、濃い漬け汁を割れば、さらに一品いただいた気分になれるほどで、いや、これは美味しかったです。
ご主人に聞けば、この日は「酒田祭り」の初日で観光客も多く、伺った午後1時30分でしたが、僕の蕎麦が最後の一人前だったそう。これはラッキーでしたね。

蕎麦をいただいた後は、日和山公園から酒田の中心・中町通りまで数キロ続く屋台群をのぞきつつ、観光名所の本間家旧本邸を見学後、山居倉庫まで腹ごなしのお散歩です。酒田のよさって、がんばれば歩いて回れるってことかもですよ。
そんな時間つぶしをしているうち、本日のメインイベント、みなと酒田の寿司割烹・鈴政の予約時間です。
こちらも酒田祭りで大賑わい。カウンターの予約は1年前に埋まっているとのことで、2階の個室となりました。
ここで注文を出してびっくり、なんと2階ではおまかせが出来ない、というんです。さらにコース料理も前日予約しか受けないと。そんなこと、予約時に一言も聞いてないぞ。
しかたく特上握り寿司を注文したんです。サーブは、2醜類づつ小型の漬け板に寿司を乗せて運ばれるスタイル。

最初に出てきたのは中トロとひらめ。食してみれば、ああああああザンネン。シャリが重い。寿司飯は一粒一粒が立っていて、ネタと合わせて握れば一体となり、口に入れればほろっとほどけるのが理想ですよね。
こちらのシャリ、粘ってるんです。ほどけないんです。
推測ですが、いつも以上のお客対応で、かなりの量の寿司飯を仕込んだのではないでしょうか。さらにそれを強めの「あま」にしている。
たとえば久兵衛などでは、カウンターで出す寿司飯は酢と塩だけで合わせたものを使います。で、お持ち帰り用や出前用にはそれに砂糖を加えた「あま」と呼ぶ寿司飯使います。砂糖で保水性を高めて、寿司飯の保ちを担保してるわけですね。
素人の推測なので、違っているかもしれませんが、正直、美味しくない。その後、甘エビ、漬けまぐろなど計9種類出てきましたが、どれも普通。うにのつかみにいたってはハワイの塩とかいうやつがまぶしてあるんですが、その影響か、うにの味がまったくしないというものでしたよ。
加えて文句を言えば、給仕してくれる人の階段を上り下りする足音が響く、響く。まるで運動会をしているような騒音の中での食事はまったく落ち着きませんでした。
そして、ビールと日本酒含めておおよそ7000円。寿司としては安いかもですが、なんか損した気分。
これは口直しに行かねばと、タクシーの運転手さんお勧めの鮨処えびすへ。
鈴政とはうって変わって、カウンターの先客は2名のみ。大丈夫かと思うものの、突き出しのくろばいの煮付けが美味しくて一安心。

さすがに寿司飯はもういいかと、桜ますとのどぐろの塩焼きに刺身盛り合わせを注文。詳細は省きますが、あらという地魚を初めていただいたり、この季節限定の小枝みたいにがっつりしたもずを肴に、先客の地元の方との会話も弾みそれは楽しく、お会計5000円弱もお釣りがくる感じでありました。
そして翌日はあいにくの雨でしたが、ホテル近くにある本間美術館へ。これがまた当時の技術の粋を集めた二階建て日本建築で、さらにその庭園の素晴らしさと合わせて、来てよかったと感動。
さらに、写真専攻の僕だけに、タクシーで10分ほどの土門拳記念館にも足を伸ばしました。こちらも詳細略ですが、展示はもちろん、ロケーションと建築の融合が素晴らしく、訪問すべき場所ですよ。

そして、今回の最後の食事は、酒田駅前の総合施設ミライニ2階のフレンチ料理「ル・ポットフー」。昼にいただけるシェフおすすめプレミアムフルコース全7品6,600円をオーダー。地元ならではのガザエビのスープがなんとも強烈な味わい、米沢牛のミニッツステーキの肉質はいいもののソースは普通。デザートのクレームブリュレが一番おいしかったような。もちろん東京でいただけば1万円コースがこの値段でいただけるのですから、ま、いいかです。

今回、WebサイトやYouTubeなどでは最高評価の寿司割烹が大いなる空振りでした。
美味しいものの情報はまず現地に行って、タクシーや居酒屋で集めるぶっつけ本番の旅がよろしいようで。
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