銀座久兵衛で江戸前寿司の神髄を味わってみる
- Kaz Saito
- 2022年11月21日
- 読了時間: 3分
更新日:2022年11月22日

銀座久兵衛にいってみました。言わずと知れた江戸前寿司の名店ですよね。
こちらで寿司をいただければ、江戸前寿司の規準が出来るかな、と。寿司をいただくたびにこの味とお代は正当なのか、と思ってしまう僕なもので、その評価のメジャーができたらと考えたわけです。
いただいたのは、1万6500円の久兵衛コース。お品書きでは突き出し、にぎり16貫、巻物、椀となっていますが、実際にどれだけ食べたのかは写真撮り忘れもあり不明(^_^;
にぎりの詳細は省きますが、まぐろは中トロ、赤身漬け、大トロと3種類、えびは活巻(車えび)と甘えび。活巻は湯がくか、生のままか聞かれるのがちょっと新鮮。その他、うに、赤貝、平貝、かれい、かんぱち、いか、穴子などもれなく供されます。
中でも「うまい!」と唸ったのがなんといわし。にぎる直前に皮をはぎ、しゃりと合わせて付け台に。口に運べばその身の柔らかさと、脂の甘さが口の中に広がります。いわしのような足のはやい魚こそ、そのお店の仕入の実力が見えるなあ、と改めて感じました。
さらに、にぎりの間に出されるつまみにも魚を無駄にしない姿勢が見えましたよ。それがあじのがんばら(腹骨)と穴子の骨せんべい、加えて穴子のきも煮です。普段は捨ててしまう部位が最高の酒の肴になるっていいですよね。
その昔、河岸のわた箱(おろした魚の落とし身、わたや骨をまとめて捨てる箱)を見れば、その仲卸がどこまで魚を大切にしたか分かる、と言われたそうです。久兵衛のこうした文化を今に継承している仕事ぶり、勉強になります。
巻物も含めて一通りいただいて、なんか物足りないと思えば、そうなんです、酢で締めたねたがなかったことに気付きました。そこで、追加でこはだを注文。これも一点の曇りもない味。まさにいい仕事してる、ってやつですね。江戸前を代表するならば、美味しいとはいえ、まぐろ三種は不要かと。むしろ、こうした酢で締めたもの、煮はまのような仕事がしてあるねたがコースに入っているべきと思っていまいました。
酢飯にも触れておきましょう。ねたとの一体感はこれまで食べた寿司の中でも飛びきりといってよろしいかと。酢は流行の赤酢ではなく、白酢。しかも、砂糖を使わずたぶん塩のみのあっさりとした打ち酢でした。担当の握り手によると、これが江戸からの伝統の味とのこと。その当時は砂糖が高級品。そもそも庶民のファストフードとして生まれた寿司ですから、合点がいく話しです。
新米ではなく酢を吸いやすい古米を炊き、大きな飯台で、打ち酢を混ぜるのではなく、米を切るように合わせるとのこと。家庭用の小さい飯台では十分に切れないというのは体験的に理解できます。
大きな飯台でさっと切ると米が潰れず、ねたとの一体感とともに口の中でぱらっとほどけるすし飯になるのでしょうね。納得です。
がりもその流儀で、甘酢ではなく酢と塩で漬けたからめのもの。これが合わない客もいるのでしょう、別の器に白髪大根と若布が盛られます。こちら、がり同様、お替わり自由。こちらのほうが口直し、箸休めにいい感じでしたよ。
さて、お代ですが、こちらハーフボトルのシャンパンとお酒3合飲んだので、1人3万円越え。お酒の値付けが全般に高い! これで2時間制というのはいかがなものか、と言いたくなります。とはいえ、元々ファストフードの寿司、正直言えば1時間ちょいで食べきってしまうんですよね。
魚は美味しい、でも感激するほどでもない、というのが正直な感想。老舗で寿司をいただく体験をこのお値段で楽しめるか、それは懐次第ということですかね。
PS ちなみに回転寿司と高級寿司の価格差の問題ですが、結論がでました。これ、同じ種類の料理ではない。なのでお代とお味の比較はできないんですよ。ファッションで言えば、ユニクロとデザイナーブランド。同じ洋服でも違いますよね。さらにこちらも使い分けしてますよね。なので、どちらがえらいというのではなく、消費者が上手に使い分ければいいんですよね。
Comments