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春を代表する魚、桜ますを楽しみましょう

  • 執筆者の写真: Kaz Saito
    Kaz Saito
  • 2022年4月13日
  • 読了時間: 3分

桜の便りと共に市場に並ぶことから付いた名前が桜ます。いい名前ですよね。冬から春にかけて北海道、東北の故郷の河川に遡上するために戻ってきたところを延縄などで捕獲するそうです。


今回、仕入れたものは2キロ弱でしたが、3キロ以上になるとそれはそれは迫力のある魚体となり、値段もキロ3000円近くすることもある高級魚なんです。


おろしてみると、その身は桜色ではなく、鮮やかなオレンジ色。さけ科の中でもその身の鮮やかさはナンバーワンではないかしら。なにか艶っぽいんですよね。


指でその身を撫でるとやわらかくもち肌のよう。そして脂もたっぷりのっていて指に吸い付くような感じです。ね、色っぽいでしょ。これに塩して焼くだけで、独特の香りとともに美味しくいただけます。


もちろんそれも好きなんですが、4月の僕の料理教室ではこの桜ますを西京漬けにします。今回、僕の入院のために一週空けての土日開催のため、生の状態では保存がむずかしい。そこで、冷蔵でも1週間以上保つ西京漬けにすることに。すでに試作しましたが、桜ますの西京漬けはこれまた絶品でした。生だとやわらかい身もみそ床につけて水分が程よく抜けることに締まってほどよい食感となることが分かりました。それに色もいいんですよ。そう、一段と上品な感じになりました。年末の鰆の西京漬け同様、春にはこの桜ますの西京漬けが定番になりそうです。


ところで、桜ますをおろすのは、結構むずかしい。魚体が大きいうえに身質がやわらかいので身割れしやすいのです。


背から下ろすのがお江戸の伝統ですが、中骨が中央に寄っている桜ますは背から包丁を入れると出刃のしのぎを骨の上に乗せるのが難しいのです。そこで背側の尾のほうから包丁を入れます。そうすると中骨に乗せやすい。そのまま頭のほうまで包丁を引けばきれいにおろせるとう理屈ですね。


背に包丁が入ったら、腹を手間にして腹腔から尾にかけて包丁を入れればいいわけです。この後、通常であれば魚をよいしょとひっくり返して背腹で下ろしますが、身のやわらかい桜ますは、そのままの状態で中骨の下に包丁を入れて、中骨をすき取るようにします。


この技術、じつは前回札幌に行ったときに、お寿司屋さんの大将に教えてもらいました。事前にお願いして生の鮭を仕入れてもらい、それのおろし方の指導を受けたんです。その折りに、大きな鮭や鰆はこうしておろすと身割れを防ぐことができるんです。


西京漬けにするにはまずおろした身を食べやすい大きさに切り分けます。これに塩して半日置いた後、みそ床に漬け込みます。西京みそをみりんと酒で伸ばすのが一般的なみそ床ですが、近茶流ではこれにもうひとつ味を加えます。それは、料理教室でご披露いたしましょう。みそ床に3日ほど漬ければ美味しい西京漬けの出来上がりです。



ところで、西京漬けって、焼くときに焦げやすいでしすよね。僕はそれを防ぐためみそと魚の間にガーゼっを挟みます。ひと手間ですがこうすると魚の身にみそが付かず、焼いても焦げたりしないんです。ガーゼが手元になければ、アベノマスクをほどいて使いましょう、なんてね。


そうそう、この桜ますってじつはやまめなんですよ。山間の渓流に住む川魚のやまめです。感じでは山女。谷の宝石とも呼ばれる美しい魚ですが、15〜20センチ程度のものです。


このやまめが川を下って海に入り、育ったものが桜ますになるんです。まさに自然が育む貴重なお魚さん。日本の川をきれいに保つことが、やはり大切だってことですね。

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