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叱られて学び直したみりんのこと

  • 執筆者の写真: Kaz Saito
    Kaz Saito
  • 2023年2月14日
  • 読了時間: 5分

ボーっと生きてんじゃねえ-よ! と叱られそうな僕。


義理の娘ティーアから「みりんをなぜ使うのですか」と聞かれて返答に窮してしまったんです。


昨年11月にフィンランドより一時帰国の息子家族。かわいい孫娘のサイマとともに我が家で年末年始を家族揃って過ごせたのはなによりの喜びでした。


せっかくのこの機会、料理好きのティーアに本格的な和食に触れてもらおうと、僕の料理教室のサポートをお願い、食材の準備から調理、試食まで和食体験をしてもらっています。


そのティーアから「みりんをなぜ使うのか」と。鶏もも肉と根菜の甘煮を作っているときに出た質問なのですが、彼女曰く、酒も砂糖も使うのに、さらに甘いお酒のみりんをなぜ入れるのか、というんですね。


普段、いただいたレシピ通りに「これがおいしいから」と疑問を持つこともなく、調味していましたが、改めてなぜその調味料を使うのか、と考えさせらた瞬間でした。


これまでは、照りを出すため、砂糖とは違う上品な甘さをまとわせるために使うなど、ぼんやりとした回答をしていたのですが、ティーアは納得してくれません(汗。


ネットで調べてみれば、砂糖はショ糖で一つの甘さしかないが、みりんにはブドウ糖やオリゴ糖など数種類の糖が含まれているので甘味に奥行きがでるとのこと。


さらにお酒はうるち米ですが、みりんはもち米で醸されて、しかも焼酎も使うんですね。


こうして改めて調べてみれば、知らなかったことばかりでまさに赤面のいたり。一緒に仕事していたあの人が、後から本当はすごい人だったと周りから聞かされ驚いた、といったところ。


折良く、「チコちゃんに叱られる」でもまさにみりんが取り上げられたのですが、チコちゃんの回答は、以下の通りでした。


「みりんは煮崩れを防ぐお酒」


砂糖だけで煮たじゃがいもはぐずぐずに崩れてしまうのに、みりんで煮ると形をとどめるという実験も紹介されて、なるほどがってんと。しかし、なぜそうなるのかは今だ解明されていないというのがまた面白いですよね。


これも和食の積み重ねてきた歴史からの知恵と思わざるを得ないトピックでした。

ティーアからはさらにこんな言葉もでたんです。


「日本の塩は強くて辛い」


欧州で使う塩は岩塩から作るこるのが主流なのでミネラル分が豊富でまろやかに感じるとのこと。


海水から製塩される日本の塩は、岩塩の味覚に慣れたティーアには強すぎるようです。


そこで思い出したのが、我が師・故柳原一成先生の次ぎの言葉です。


「塩にこだわりすぎないほうがいいよ」


世界にはもちろん様々な塩が存在することを御存知の先生です。その上で、和食の味を一定に出すためには、やはり日本の製塩を正しい分量で使うことだよ、とおっしゃっていました。今でも先生からいただいた大切なアドバイスと心に留めています。


ティーアからはさらに醤油に普通の醤油と淡口があるのはなぜか、どのように使い分けるのかなど僕にとっては今さら聞けないことを質問されています。


こうした疑問に正確に答えれれるよう、今さらなこともしっかりと勉強していかねばと。


こうして、日本人同士だと当たり前すぎてスルーしていた事が、海外の方から見たらストレンジなことってあるんですよね。


世界に認められた和食の良さをちゃんと伝えるためには、こうしてティーアから出た素直な疑問にも丁寧に答えていくことが必要だと、改めて思った次第です。


それと繋がる話題なのですが、やはり年末年始に僕の趣味のひとつであるキゾンバというペアダンスのインストラクターがフランスからやってきました。


その機会に、居酒屋やチェーン店では出来ない和食体験をしてもらおうと、僕のキッチンスタジオでの食事会を企画しました。


1回目はフランス人の先生とその友人と日本人スタッフを含めて6人だったので、近茶流ちらしずしの盛り付け体験をしてもらいました。


活巻も用意して背わたを抜く経験してもらうとしたのですが、「Still Alive」と大騒ぎで触ることもできずでザンネンといったところでしたが、用意したねたを盛り付け箸ですし飯に置いていくだけの体験でも、とても喜んでもらえました。


この1月に来日の2人目の先生のときは、総勢12名とキッチンスタジオ満席でのオペレーションに挑戦してみました。これだけの人数になると一人で料理してサーブするのはとうてい出来ません。そこで考えたのが手巻きずし。これならば各人が自分で巻けるので、僕のほうはすし飯とねたの準備に集中できます。結果、こちらも好評で、準備は大変でしたが、本当にやってよかったと思える会となりました。


僕のやっている料理教室は月に2回、しかも各最大6名という規模で、和食の良さを広めるためにというのにはあまりにスモールサイズです。


それでも継続する意味があるとしたら、こうした試みを通じて僕ならではの海外の方へのアプローチができることではないか、と最近思うに至りました。



孫のサイマはまだ1歳4カ月ですが、僕の作った和食を喜んで食べてくれます。その彼女は家族とともに今年8月にはオーストラリアに行ってしまいます。


こうなると一年に一度会えるかどうかの存在となってしまいますが、まず親のティーアに和食を覚えてもらい、その次ぎには孫のサイマが日本の味を忘れないように出張シェフとして訪問したいなあと思っています。。


じーじの記憶は和食の味となるようがんばって行きましょう!

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