一年で一生を終わる魚・鮎。だからこそ丁寧に調理して美味しくいただきたい!
- Kaz Saito
- 2021年6月21日
- 読了時間: 3分

うっとおしい梅雨ですが、梅雨に美味しくなる魚って結構あるんですよ。
梅雨穴子、梅雨鰯、梅雨鰺とよく言われ、通年通じていただけるお魚もこの時期、梅雨の雨を飲んで美味しくなるとよく言われます。
そして、この梅雨入りとともに和食の世界に登場するのが、鮎です。このお魚11月から5月まで禁漁となっており、6月に解禁されることからこの時期に一斉に市場に並ぶわけです。
この鮎、一年魚って知ってました?
平安時代中期に作られた辞書『和名類聚抄』(わみょうるいじゅしょうに以下の説明があるんですね。
「春生じ、夏長じ、秋衰え、冬死す、故に年魚と名づく」
年魚とあるように、秋に川で孵った稚魚が海に下り、明けて春に川を上り、夏に成長して、秋に産卵を経て、その一生を終わるという、なんともはかない魚なんですね。
この鮎ですが、中国や韓国の一部にも生息するそうですが、実は日本の固有種だそうです。そのはかなさと繊細な味に、古来から日本人は惹かれてきました。
そして現代、鮎って結構遠い食材になってしまった感があります。スーパーでも売っているところはあるのですが、そうそう一般的ではない。ちゃんとした和食屋さんでそれなりのお値段でいただく、というものになっているかもです。
そんなこともあって、我がGON'S KITCHENでは毎年この時期に炭火で焼く鮎の塩焼きを定番にしています。炭で焼くとやはり一味違うんですよ。
鮎の脂が炭の上に落ちて、それが煙となって立ち上り、鮎をいぶしてくれる。うまく焼くと鮎の表面が飴色になってくれます。鮎本来のあのすいかのような香りに燻製香も加わって、本当においしく仕上げることができます。
そして鮎の相棒といえば蓼(たで)ですね。あの苦みが、鮎のわたの苦みとマリアージュするというか、いい相性となっています。

実は今シーズン初の鮎の塩焼きを先週の土曜に敢行。こちらも一年に一度なもので、鮎が川を登る姿に串を打つ登り串の稽古と、炭の炉のセットを兼ねての本番前の予行演習。このとき、蓼がなかったもので、フレンチのシェフが用意してくれたジェノベーゼソース、そう大葉のソースでいただいてみたのですが、いやこれが驚異の組み合わせで本当においしくいただけました。
6月のGON'S KITCHENは今週末ですが、蓼酢とともに、このジェノベーゼソースも用意してみましょうか。いやー、料理って本当に楽しいものです。ぜひ、皆さまも鮎を見かけたら塩焼きに挑戦してみてください。
串を打たずともひれに粗塩をぐっと入れてそれぞれを立たせて、手に残った塩を身にふって、オーブントースターなどで焼いても美味しくいただけるはず。この時期ならではのお魚、鮎を楽しんでください。
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