ぼける暇なし。もはや健康法か、伊達巻きとお節作りで体力テスト
- Kaz Saito
- 1月3日
- 読了時間: 5分

気づけば年末に伊達巻きを作り始めて21年、昨年末には合計43本を巻ききりました。僕がすべて巻くのではなく、料理教室に参加いただいた皆さんに来ていただき、それぞれの伊達巻きを作ってもらう年末恒例のイベント。
それと平行して料理教室の生徒さんと自分の分を含めて6家族28人分のお節を完成させました。11月末に献立を決め、仕入の段取りをして、12月23日から31日までノンストップの作業、が続きました。気力・体力ともに負荷の高いミッションですが、これがいわば自分の健康診断、体力テストとなっている感じがします。
「今年もやり遂げたぞ、俺はまだ大丈夫」と、勝手に思うわけですね。おかげ様でインフルにもコロナにもかからず、元気に新年を迎えることができました。あ、これボケ防止にもきっとなってますよね。
さて、今年の献立は以下の通りで、紅白蒲鉾以外はすべて手作りです。どれも市販のものより数段美味しいと自負しております。なによりそれは子供たちの舌が証明、うちの昆布巻きは、これまで手も出さなかった子供たちが喜んで食べるという話しをよく聞きます。
黒豆(雁喰豆)とちょろぎ
数の子
ごまめの雪衣
養老海老の甘煮
鰆の西京漬け
西京漬けローストビーフ
鶏と鴨の松風焼き
昆布巻き
紅白柚香なます
姫慈姑の素揚げ
栗きんとん
伊達巻き
紅白蒲鉾
※唐墨(数量限定)
※パテドカンパーニュ(希望者のみ)
かなり気が早いですが今年の年末のために覚書を残しておきましょう。
黒豆は、今年初めて雁喰豆(がんくいまめ)を炊いてみますた。丹波の黒豆が今や標準となっていますが、これは1964年の東京オリンピック以降のことで、それ以前はこの雁喰豆が一般的だったとのこと。築地の豆問屋のご主人に言わせれば「雁喰豆こそ、江戸の味」だそうです。
丹波の黒豆はここ数年作柄が悪く、歩留まりが悪いんです。値段は高いのに、二割程度は皮が爆ぜてしまう。その点、雁喰豆は価格も安く、ヤレもほとんど出ない。昔はわざとしわを寄せるように炊いたという話しも聞きます。砂糖で甘くして最後に醤油で締めるのですが、味だって丹波の黒豆に負けてはいません。
今年の数の子は北海道産と久々の国産でしたが、3日間の塩抜きさえキチンとやれば、だしの味も入りやすかったように感じます。最近では薄皮を薬品で溶かしたものも売っていますが、やはり薄皮を剝く手間も楽しむのがいいように思います。
ここ数年、取り組んでいるごまめの雪衣(ゆきごろも)、ついにタイミングを見極めました。これ、砂糖を再結晶させてごまめとくるみに白くまとわせるために、我が師・故柳原一成先生が名付けた逸品。砂糖と醤油だとさび釘が固まったようになるのですが、この技術を使えばそれぞれが分離して、とても食べやすく、しかも、やめられない止まらない美味しいごまめができます。
毎年悩む海老ですが、今年は養老海老の甘煮としました。活巻50尾を仕入れて、ひさすら背わたを取って、煮汁でしっかり味を入れて、氷でがっつり冷ましてから真空冷凍に。仕込みは23日にしましたが、お正月に身もプリッとしたまま、美味しくいただくことができました。
西京漬けのすごさを再認識したのは、鰆そしてローストビーフです。4キロの鰆を23日におろして3日間味噌床に寝かせてから真空冷凍。それを元旦に解凍して焼いたのですが、まったく問題なく美味しくいただけました。
そして今年の新メニューであるローストビーフは、24日に牛肉の赤身を仕入れて味噌床に1週間ほど保管してからの表面を焼いて恒温調理仕上げしました。つまりほぼ一週間冷蔵のみで保管、お節に詰める前にそれを薄くスライスして盛り付けましたがまったく問題なし。雑菌を寄せつけない味噌のチカラってスゴイですね。ジューシー感を出すために、今年はもう少し味噌床に漬ける期間を短くしてみましょう。
これも今年の新献立、鴨と鶏の松風焼きですが、本当にやってよかった! ブランデーに漬けた干しぶどう、まつのみも加えるのですが、それはそれは深い味になって、フルボディの赤ワインとも合うお節となりましたよ。教えてもらった柳原料理教室の大先輩に感謝です。
昆布巻きも今年は北海道産の身欠きにしんで、いつものベーリング海ものよりもあっさりした感じでしたが、定番の美味しさに仕上がりました。一部、醤油味が強いとの声も聞こえましたので、使う銘柄、量など調整してもいいかもです。
紅白柚香なます、姫慈姑の素揚げは例年通りですが、栗きんとんについては栗の蜜煮を自作してみました。栗の旬に、むき栗が真空パックででるタイミングがあるので、それを購入、炊いてみたんです。ところが炊き方が難しく、崩れてしまったのが残念。今年はLではなくMサイズを上手に炊けるよう研究です。
さて、伊達巻きですが、今年の気づきとしては、すり身の鉢当たりをし過ぎると膨らみすぎて巻きにくくなるということ。ほどよく摺って、砂糖をすばやく加えて、溶き卵をダマにならぬよう混ぜていくのがいいようです。さらに、表面の焼き目の入れ方にももう一工夫必要ですね。
まずは伊達巻き・お節作りに参加いただいた皆さま、ありがとうございます。毎月の料理教室も喜んでいただけるよう研究・努力していきます。今年もよろしくお付き合いくださいませ。
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