この子たちにの未来にも、和食がちゃんとありますように。
- Kaz Saito
- 2023年8月17日
- 読了時間: 4分

故・柳原一成先生は「世界文化遺産になったのはいいけれど、このままだと和食がほんとに遺産になっちゃうよ」と。フルタイムで仕事をしていれば、帰宅後、魚をさばいてから料理を作るなんて無理ですよね。そんな環境下、和食という日本人の誇るべき文化をどう伝えて行くか、です。
僕たちの和食を遺産にしないために出来ること
自分に出来ることだからと他人も出来ると考えて押しつけることほど不遜なことってありませんよね。
正しいと知っていても、置かれている状況、環境によっては実行不可能なことがあるのがこの世の中です。
現在、僕は柳原料理教室で学んだ近茶流懐石料理のメソッドをお教えする料理教室GON'S KITCHENを主宰しております。
本校で習う料理は、和食の王道ともいえるもので、ご飯は羽釜で炊き、だしも引き、魚もさばき、毎回5品ほどの献立を、盛り付けにも気を遣いながら膳組していきます。
なので、扱う食材も多く、調理器具も器もそれぞれ使い分けるという、とにかく手をかける、言い方を変えれば手間のかかる料理をしています。
それだけ丁寧に調理をするのですから、それはもう見た目も美しく、この上もなく美味しい料理が出来上がります。
そこで考えるのが、前述したこと。これぞ和食なのですが、それを今の家庭環境で再現できる人ってどのくらいいるのかしら、なのです。
夫婦ともにフルタイムの仕事を持ち、さらに子育て中ともなれば、料理にたっぷり時間をかけることは難しいのが現実。これはシングルの身でも同じで、夜の8時、9時に自宅に帰って素材から凝った料理を作ることはむずかしいですよね。
そうなると出来上がった惣菜を買う、外食で済ませる、料理をしたとしても時短がありがたい、となるのは当然です。
僕のお師匠、故・柳原一成先生はおっしゃっていました。
「世界文化遺産になったのはいいけれど、このままだと和食がほんとに遺産になっちゃうよ」と。
現実にはすでに姿を消し、その昔、日本人はこんな食事をしていました、と博物館に展示さるようになってしまいはしないか。
実際、回りを見渡せば、日本料理は高級外食産業としては立派に存続していますが、家庭での和食、特に魚を使った和食は、絶滅危惧種に近いかもしれません。
作りたくても作れないって、なにか少子化の構造と似ていませんか。
結婚して子供を作りたくても、今の仕事環境、経済状況ではむずかしい。
政府の子育て支援も重要ですが、それに加えて仕事のやり方から、夫婦の役割分担の見直し、さらには生活の場の変更など、これまでの常識に捕らわれない生き方への進化が求められています。
家庭での和食に話しを戻せば、僕がこれまで本校で習ったことをそのままお教えすることから、もう一段階進化する必要があるようです。
ということで、いきなり結論ですが、これからのGON'S KITCHENのテーマは、「今の生活環境にフィットした和食の技術をお教えする」です。
その第一歩として、従来のコースに加えて、今秋から新しいコースの新設を計画しています。
従来のコースは季節の食材での膳組を大切にしており、一品一品丁寧に仕上げることを旨としています。結果、調理開始から試食完了まで4時間ちょっとかかります。そのため、やは休日開催となり、現在、毎月第四土日の二日間が定例の教室となっています。
新設のコースは平日の夜3時間で完結することを考えています。そのため、膳組よりも和食の基本技術にフォーカスし、作る料理を2品から3品に絞るというものです。
それでも、全8回のコースを通せば、和食の五法「生(切る)、煮る、焼く、揚げる、蒸す」が学べ、しかも季節の食材を活かした近茶流の代表的な常備菜と、はれの日のちらし寿司を作ることができるようになることを目指します。
今、予定している内容は以下の通りです。さっそくテストを開始、さらに内容を磨いて皆様に正式にご提案する所存です。
以下のコースでご質問、ご意見、ご希望などありましたら是非お聞かせくださいませ。
第1回 魚のおろし方の基本
ご飯の炊き方
あじの叩きとあじの三杯酢
第2回 煮物の基本
だしのひき方
鶏と根菜の甘煮
豆腐と若布のみそ汁
第3回 揚げ物の基本
いわしの手開きとしんじょ揚げ
鶏腿肉の竜田揚げ
第4回 玉子料理の基本
江戸厚焼き玉子焼き
だし巻だ玉子焼き
茶碗蒸し
第5回 はれの日の寿司
追い込み散らし寿司
みょうがのむら雲汁
第6回 煮魚と焼き魚
ぶりの照り焼き
鯖の味噌煮
第7回 和え物と炊き込みご飯
竹の子飯など季節の炊き込みご飯
ほうれん草のお浸し
きゅうりとしらすとみょうがの三杯酢
第8回 あと1品の和食
白和え
いり鶏
切り干し大根
特別コース
初めてのお節料理
※写真は内容と関係なく、キャンベラで初めて出来たお友達とサイマです。なんか姉妹みたいに似てるなあと思ったら、お友達のルナちゃん、四分の一ですがアジアの血が入っているとのこと。
Comments